経費計上の注意点
もう直ぐ確定申告の時期ですね。
国内口座と海外口座では課税方式が異なるので、計算で注意していただくとして、ここではロースプレッド口座(ECN口座)の取引手数料について書きたいと思います。
スプレッドは勿論経費計上出来ませんが、取引手数料はどこを見ても経費に出来ると書かれてますね…
費用に計上して控除出来ますが…って点を見といて欲しいと思います。
スプレッドというのは…
例えばドル円のスプレッドが15という表示だったら、140.000のレートの時にロングエントリーすると、1.5pips上の140.015より上がったところから利益という予め設定された手数料を指しますね。
取引手数料は…
このスプレッドは業者がマークアップした提供レートで、流動性プロパイダーから業者の卸レートに手数料(スプレッド)を載せて顧客に提供してるものを、プロパイダーに直接繋ぐことでロースプレッドで取引出来るようにしてる仕様がECN口座です。
顧客はスプレッドが狭くトレード出来ますが、業者はスプレッド手数料無しになるので、別に取引手数料の形で必要になります。
スプレッドではない外付け取引手数料だから経費に出来ます。銀行の振込手数料やATM手数料と同じです。
が、利益はこの手数料が引かれた後なので、記帳の金額を間違うと経費二重計上になります。
仕訳で見ると分かりやすいと思います。
期中に1Lot取引
取引手数料は往復700円/1Lot
この場合、仕訳は
(現金預金)10,000/(損益)10,000
ですね。
取引手数料を考えると
(支払手数料)700
これを見たら分かるように、口座残高が増えた利益額ではなく、手数料分加算して手数料を費用科目で計上することになります。そうしないと現金預金が合いません。
ここで、statement通りの利益にして支払手数料を計上すると
(現金預金)9,300/(損益)10,000
(支払手数料)700
現金預金勘定は期中に10,000円増えてるので期末残高は1,010,000円なのに、今度は1,009,300円で貸借が合わなくなります。
現金預金の実際有高を期末残高に合わせる必要があるため
(現金預金)700/(支払手数料)700
の修正仕訳をして支払手数料を取り消す無駄が出ます。
取引手数料は費用に出来ますが、年間の費用合計を出すために手数料額だけ洗い出して手間が増えるだけになります。取引手数料もスプレッドと同じと考える方が楽に帳簿の計算が出来ますね。
では、負けたらどうなるかって疑問もあると思いますが…
期中に10,000円損失だった時…
statementでは手数料700円と損失の10,000円の計10,700円が既に注文・決済時に口座から引かれています。
(損益)10,000
(損益)10,700/(現金預金)10,700
としても結局は費用として同じになります。
損益で既に引かれてるものからさらに経費で引くと、口座残高が合わなくなる上に経費二重計上にもなるので、この点に注意してください。
ロースプレッド口座のスプレッドが0.0で考えると、取引手数料は注文時・決済時に差し引かれるとしても、利益・損失額の内の支払手数料なので、マイナスの時は費用計上が簡単ですが、プラスになってる時の貸方の損益に注意が必要です。
取引口座の増減で仕訳しないプラス益の時だけ、支払手数料が引かれる前の損益にしないと合わなくなります。
期中のスキャルピング…1日でも相当な数のエントリーがある場合もあり、プラスとマイナスで仕訳の際に手数料分を考慮して記帳するというのは現実的ではありませんね。
口座の現金預金の変動が損益で、既に取引手数料が引かれた(相殺)金額の益・損として、別途費用にしない方がスムーズです。費用収益の金額は同じになりますので。
期首の残高が100で、期中に色々取引して240になり360に増えて、大きく損して55になっても…
期首100-期末55=45の損失
期首の残高が100で、期中に入金30、240になり負けて70まで減り、大きく勝って期末残高380で出金200…
(期首100+期中30)-(期末180+200)=250の利益
入金額・出金額だけ間違わずに仕訳していたら期首と期末の残高の増減で損益はシンプルに正しく計算できます。
個人のFX取引は費用化出来るものが少なく、光熱費や家賃、通信費、書籍やセミナー(その交通費含む)など、FXに関するものは費用で控除出来ますが、利益が大きい人ほど引けるものが僅かで所得額が大きいまま支払税額も大きくなります。
コンサルティングを受けてる場合は、その費用も計上できるうえにさらに技術向上にも繋がります。企業でも継続してコンサルティング契約してるのはメリットがあるからなんです。
上手く節税を考えながらトレードにプラスになることを考えていくことがトレーダーですね✧